遺言書の効力が発揮されるケースとは
■ 遺言について
そもそも遺言とは、被相続人(相続される人)が死後の自身の財産について、誰にどのように相続するかをあらかじめ書き残しておく意思表示のことを言います。
遺言は、法律で定められた方式でなければその効力が発揮されません。例えば、口頭で「妻のAにX不動産、子のBに×××万円の資産を相続する」と伝えたとしてもこれが法律上の遺言とはならず無効になってしまいます。民法967条では遺言の方式を定めており、遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言が原則的な遺言の方式となっています。
■ 遺言書の種類
遺言の効力が発揮される有効な3つの方式をご説明いたします。
⑴ 自筆証書遺言(民法968条)
自筆証書遺言は、被相続人である遺言者が自筆で遺言内容、日付、氏名を記入し、遺言者がこれに押印しなければなりません。
⑵ 公正証書遺言(民法969条)
公正証書遺言は、遺言者が公証役場で2人以上の証人の立ち会いのもとで、公証人に遺言内容を口授してこれを公証人が筆記して遺言書を作成する方法です。公証人が作成する書類ですから、公的書類として扱われ、自筆証書遺言や秘密証書遺言に比べて信用性が高いものとなっています。
⑶ 秘密証書遺言(民法970条)
簡単に言えば、遺言内容を秘密にする遺言方法です。上記2つの遺言方法に比べてマイナーな方法となっています。
■ 遺言の効力とは
遺言として遺言書を作成するメリットは、遺言者の意思を確実に反映できる点にあります。遺言書を作成していない時、遺言者が特定の相続人に自身の財産を相続したいと思っていても、この場合は、法定相続人が法定相続分に従った相続を受けることになってしまうため、被相続人の意思が反映されない形になってしまうことになります。そのような意味においても、遺言は有効な方式である遺言書を正確に作成することによって自身の死後においても生前の意思表示を反映することができます。
この点、遺言書を作成しても、その作成に当たり、法律上の形式にのっとらない遺言書は無効になってしまいます。
したがって、遺言をする際に、上記3つの遺言書を作成する場合には、正しい形式で作成をするように注意が必要です。
自筆証書遺言の作成にあたり、遺言書の要式に不安がある方は、司法書士などの法律の専門家に遺言書のチェックをしてもらうことをおすすめいたします。また、公正証書遺言の作成にも、証人になれない者が定められていたり、事前打ち合わせなどの手続きがありますので、こちらも検討している方でご不安がある方はお気軽にご相談ください。
伊東光司法書士事務所では、「遺言書の作成」、「遺言の効力について」などの「相続」に関するご相談を承っております。なにか「相続」に関してご不明な点やお困りのことがございましたら、当事務所までご相談ください。ご相談者さまの個別のニーズに合わせた最適なご提案をいたします。
当事務所が提供する基礎知識
-
相続放棄とは
相続財産調査で負債の総額が資産の総額を上回った場合には、相続放棄を選択することが合理的です。相続放棄をすれば、初めから相続人でなかったとみなされますので、被相続人の債権者が相続分に当たる債務額を請求することができなくなり […]
-
建物の明け渡し請求
建物の明渡請求について、基本的には、自分に土地や建物の所有権があり、相手方が建物を占有していれば、所有権に基づく妨害排除請求または返還請求として、建物の明渡請求をすることができます。もっとも、相手方の占有を正当化するよう […]
-
入居後の賃料値上げ・...
賃貸借契約における、賃料の減額等については、まず、民法611条1項に規定があり、これは、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用および収益をすることができなくなった場合において、それが、賃借人の責めに帰することができな […]
-
借金の返済額を減らす...
社会一般上、お金を借りたら返さなければなりません。借金を返済できなくなってしまうと、滞納に伴い、多くのデメリットが発生してしまいます。例えばローンを組むことができなくなってしまったり、遅延損害金が発生して余計に債務が増加 […]
-
抵当権抹消登記とは
抵当権抹消登記は、基本的には、銀行等の金融機関からの借り入れをする際に、自己所有の不動産に担保として抵当権を設定しており、借入金を完済した場合などにされる手続です。これは、抵当権も物権であることから抵当権設定登記という登 […]
-
相続の話し合いはどう...
遺産相続とは、被相続人(亡くなった方)の財産や権利などを、相続人が承継することをいいます。相続人が複数いる場合には遺産分割により相続財産の分配を決定しますが、被相続人が有効な遺言書を残していた場合は、原則としてそれに従っ […]
よく検索されるキーワード
司法書士紹介
- 司法書士
-
伊東 光
(いとう ひかり)
-
- 所属団体
-
◆所属団体
神奈川県司法書士会(第2356号)
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員(第1101010号)
神奈川県司法書士協同組合員
一般社団法人神奈川県公共嘱託登記司法書士協会会員
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート神奈川県支部会員
法テラス神奈川契約司法書士
東京青年司法書士協議会会員
神奈川青年司法書士協議会会員
◆執筆
「市民と法」民事法研究会(2014年12月No.90)
「月刊登記情報」きんざい(2016年3月652号)
-
- 所属
-
神奈川県立鶴見高等学校卒業
山形大学工学部卒業
宅地建物取引主任者試験合格
司法書士試験合格
簡裁訴訟代理等関係業務認定試験合格
司法書士事務所を開業
司法書士資格取得当時は、借金問題が大きな社会問題となっており、困っている方を助けたいという一心で債務整理を数多く取り扱う大手司法書士事務所に勤務し、様々な経験を積む。
東日本大震災後は復興支援にも従事。岩手県釜石市に移住し、市の職員として4年間勤める。主に複雑な登記や相続を取り扱い、震災後三陸沿岸地域で初となる用地買収のスキームを確立。
現在は地元横浜に戻り、伊東光司法書士事務所を開業。地域の皆様のお悩みに応え続けている。
事務所概要
事務所名 | 伊東光司法書士事務所 |
---|---|
所属 | 神奈川県司法書士会 |
司法書士 | 伊東 光(いとう ひかり) |
所在地 | 〒222-0036 神奈川県横浜市港北区小机町1223-3 参番館108号室 |
電話番号 | 045-534-3331 |
対応時間 | 平日 9:00~18:00(事前予約で時間外対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で土・日・祝日も対応可能) |
アクセス |
JR横浜線 小机駅 徒歩15分 横浜市営バス 長導寺前 徒歩8分 泉谷寺前 徒歩10分 駐車場あり(ご予約ください) ※コインパーキングなどもございます。 |