入居後の賃料値上げ・値下げ交渉について
賃貸借契約における、賃料の減額等については、まず、民法611条1項に規定があり、これは、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用および収益をすることができなくなった場合において、それが、賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用および収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」というものです。要件が、賃借人の責めに帰することのできない事由による目的物の一部の滅失などというように、厳格なものである代わりに、これを満たした場合は、契約の一部を解除するのと同様に、賃借人側からの意思表示のみで足り、賃貸人との合意は不要となります。
また、土地や建物という不動産を目的とする賃貸借契約については、民法の特別法として、借地借家法という法律があります。そして、借地借家法の32条には、建物の借賃増減請求権の規定があります。これは、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済的事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件に関わらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増減しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」というものです。ここでは、先ほどの民法611条1項とは異なり、土地若しくは建物に対する租税の負担の増減などにより、建物の借賃の額の増減を請求することができるとされています。この規定による請求も、先ほどの民法611条1項と同様に、いわゆる形成権であり、したがって、増減請求の意思表示が相手方に到達すれば、それによって同条所定の事由のある限り、以後賃料は相当額において増減したものとなります(最判昭32・9・3民集11・9・1467)。なお、借地借家法32条2項及び3項により、建物の借賃の増額や減額について、当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額や減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことで足り、または支払いを請求することができます。
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司法書士紹介
- 司法書士
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伊東 光
(いとう ひかり)
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- 所属団体
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◆所属団体
神奈川県司法書士会(第2356号)
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員(第1101010号)
神奈川県司法書士協同組合員
一般社団法人神奈川県公共嘱託登記司法書士協会会員
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート神奈川県支部会員
法テラス神奈川契約司法書士
東京青年司法書士協議会会員
神奈川青年司法書士協議会会員
◆執筆
「市民と法」民事法研究会(2014年12月No.90)
「月刊登記情報」きんざい(2016年3月652号)
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- 所属
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神奈川県立鶴見高等学校卒業
山形大学工学部卒業
宅地建物取引主任者試験合格
司法書士試験合格
簡裁訴訟代理等関係業務認定試験合格
司法書士事務所を開業
司法書士資格取得当時は、借金問題が大きな社会問題となっており、困っている方を助けたいという一心で債務整理を数多く取り扱う大手司法書士事務所に勤務し、様々な経験を積む。
東日本大震災後は復興支援にも従事。岩手県釜石市に移住し、市の職員として4年間勤める。主に複雑な登記や相続を取り扱い、震災後三陸沿岸地域で初となる用地買収のスキームを確立。
現在は地元横浜に戻り、伊東光司法書士事務所を開業。地域の皆様のお悩みに応え続けている。
事務所概要
事務所名 | 伊東光司法書士事務所 |
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所属 | 神奈川県司法書士会 |
司法書士 | 伊東 光(いとう ひかり) |
所在地 | 〒222-0036 神奈川県横浜市港北区小机町1223-3 参番館108号室 |
電話番号 | 045-534-3331 |
対応時間 | 平日 9:00~18:00(事前予約で時間外対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で土・日・祝日も対応可能) |
アクセス |
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